原サチコさん(88年外独卒)「三文オペラ」アクティブ・ワークショップに参加して
日時:2014年7月28日(月)18時~21時
会場:ドイツ文化会館ホール
参加者数:約50名
7月21日の講演会報告に続いて、7月28日にドイツ文化センターで開催された原サチコさんの「三文オペラ」アクティブ・ワークショップに参加した報告です。
ドイツ語圏の劇場で、ブレヒト作の「三文オペラ」のポリー役(ニコラス・シュテーマン演出)を10年以上演じてきた原サチコさんにとって、この作品には、特別の思い入れがあるようだ。そのテーマ曲として有名なクルト・ヴァイル作曲の「モリタ―ト」を題材にドイツ語を身体で話し、「舌で味わう」という体験を自分の声を通して、みなと共有しながら、楽しむというユニークなドイツ語のワークショップだった。会場には、約50名が集まり盛況な会合で、ドイツ文化センターでこの企画を担当された小高慶子さん(独文卒)が、司会を務められた。
写真 「モリタ―ト」の発音練習を指導する原サチコさん
ドイツ語を母語とする観客を前に、ドイツ人に伝わるドイツ語発音を目指して、毎日トレーニングを積んでいる原サチコさんの発声練習は、ドイツ語を「味わう」というユニークなものだ。まず、ドイツ語のレベルと声のとおりをみるために各自ドイツ語で自己紹介。その後軽い準備体操の後、発声のチェック。
「食べるときに、結構舌や口を動かしていますね。おいしいものが口の中にあって、舌でそれをかき集めながら、食べている様子を想像してください。ドイツ人がおいしい時に 『ウーン』といいます。皆さんもぜひ『ウーン』といって、味わうことを想像してみてください」と原さん。『ウーン』とおいしいものを想像しながら、口全体を動かす感覚を参加者は実感した。
次に呼吸法の練習。ハミングで体内の振動をチェック。子音を確認するためにストローを使ったゲームもした。母音の発音練習では、手を伸ばしたり、一歩足を踏み出しながら発音したり、筋肉の動きや呼吸法も合わせ、大変参考になった。
何十年もドイツ語を使っていない自分も、久しぶりに「モリタ―ト」を通してドイツ語を味わったような気分になった。最後の仕上げでは、子音の音を少し大げさに出すことを意識して全員合唱し、「三文オペラ」のせりふの一部も音読して、お開きとなった。
ドイツワイン、ビールも用意され和やかな雰囲気の懇親会には、さまざまな年代・学科の上智の卒業生が参加していた。独文や独語をはじめ、最近ドイツリートをなさっているという英文卒の先輩、現役のドイツ語学科学生さん等、三文オペラの原さんの企画を通して、楽しい交流であった。
写真 母音の発音練習の様子
原さんは上智大学・神戸大学・大阪ドイツ文化センターでもこのワークショップを開催された。
現在ハンブルク・ドイツ劇場専属俳優として活動している原さん、ドイツでの井上ひさし先生の作品の紹介をはじめ、今後の活動も楽しみだ。原さんの公演予定はこちらでチェックできる。
http://schauspielhaus.de/de_DE/ensemble/sachiko_hara.80795
個人的には今回の発声練習で、みぞおちの下の筋肉を上に引き上げて姿勢を整え、体幹の筋肉を鍛えることは、バレエのレッスン等すべての基本になることを実感した。
(報告 山田洋子 ’77年外独)