■英語教育論争から考える
鳥飼玖美子著(1969外西・第20回コムソフィア賞受賞)
みすず書房刊 2014年8月8日発行、2,700円+税

英語教育論争から考える 英語教育論争から考える
鳥飼 玖美子

みすず書房 2014-08-09
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 「日本の英語教育の歴史は、批判を受けての”抜本改革”提言の歴史である」著者は冒頭をこう述べて、今から40年前、平泉渉参議院議員と上智大学渡部昇一教授の間で行われた英語教育「大論争」を軸に「日本の英語教育」を論じている。この本で「平泉試案」について初めて詳しく知ることができたが、この「試案」は現在にも通じる内容であることに驚いた。そして著者は「グローバル市民にとって必要な”異文化コミュニケーション能力”は”相手に配慮しつつ、自らの考えを論理的に主張し、折り合うことのできる能力”である」とする。本書を通読すれば日本の英語教育の何が問題かがよく理解できる好著である。

■なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるか
嶋 浩一郎著(1993法法 博報堂ケトル社長・第23回コムソフィア賞受賞)
祥伝社 2013年6月10日発行 780円+税

なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか(祥伝社新書321) なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか(祥伝社新書321)
嶋 浩一郎

祥伝社 2013-06-03
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 本を溺愛し、「本屋大賞」を推進する著者が書いた、出るべくして出た本といえよう。今や情報も本もネットで入手することが出来るが、本屋にいかなければ絶対得られないものがある。それは想定外の出会いの場を提供してくれて、新しいアイデアがあふれるという。特に「本屋の歩き方5カ条」は秀逸、試みる価値あり。著者と奥さんとの本を巡る夫婦喧嘩の話も出てきて思わず破顔する。

■木材・石炭・シェールガス―文明史が語るエネルギーの未来
石井 彰著(1974法法)
PHP新書 2014年5月2日 780円+税

木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来 (PHP新書) 木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来 (PHP新書)
石井 彰

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 日本にとって先の戦争原因がエネルギー、特に石油であった。目下のエネルギー問題は、原子力発電が止まって火力用天然ガスである。その輸入代金が国家の経済を圧迫している。では我々は将来日本のエネルギーをどのように選択すればよいのか、著者の長年の調査研究による示唆に富んだ発言(再生可能エネルギーは環境に悪い・他)には、目の鱗が落ちる。

■ファイナル・ウォー―アメリカが目論む最後の「日本収奪計画」
ベンジャミン・フルフォード著(1960比文 米経済誌「フォーブス」元アジア太平洋支局長・第13回コムソフィア賞特別賞受賞)
扶桑社 2014年8月11日1,300円+税

ファイナル・ウォー  アメリカが目論む最後の「日本収奪計画」 ファイナル・ウォー アメリカが目論む最後の「日本収奪計画」
ベンジャミン・フルフォード

扶桑社 2014-08-02
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 かつて日本のメディアが報じなかったブシュ元アメリカ大統領と小泉首相の欺瞞を鋭く指弾した著者は、この本ではアベノミックに内在するアメリカの狙い、特にTPPについて迫っている。日本経済は、著者が12年前に書いた『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』(光文社)で指摘したハイパーインフレの恐ろしさが現実のものになろうとしている。

■波止場浪漫(上・下)
日本経済新聞出版社刊、2014年12月1日発行 各冊1,600円+税
諸田玲子著(1976文英・第9回コムソフィア賞受賞)

波止場浪漫 (上) 波止場浪漫 (上)
諸田 玲子

日本経済新聞出版社 2014-12-02
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 次郎長の娘が胸に秘める幾星霜を経た切ない恋…近代化を急ぐ明治から大正の世、清水の波止場を舞台に、東大出の西洋医との出逢いが人生を変えた…。この物語は日本経済新聞朝刊に2013年4月18日~2014年7月9日まで連載された。
※執筆中時の講演録がコムソフィアオンラインに掲載されています=>こちらをクリック