18歳や19歳はこどもなのか、大人なのかという疑問がある。「高校生が集まっても、趣味などたわいない話ばかりして、まだこどもだね」という人もいる。礼儀や人との付き合い方が分かっていない、ともいう。それでいて大人以上の犯罪をおかす人もいるので驚く。
一方で、東北の地震被災地へボランティアに出かける人もいる。海外の被災地へ救援活動する人も見られる。
このほど参議院本会議で、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が全会一致で可決し、成立した。国政選挙では来年夏の参院選から18歳以上が投票できる。
18歳、19歳で240万人が増え、2%強を占める見通しになる。これは1945年に25歳以上から20歳以上に引下げられて以来、70年ぶりの改定になる。
しかし全世界的に見ると、18歳以上への引下げはかなり遅い。アメリカは18歳。すでに1970年代から。英国やドイツ、フランスも18歳以上。韓国は19歳以上。16歳以上の国もある。
いままでは20歳代の投票率が少ないので、18歳以上になっても投票率は上がらないのではないかと見られている。若者の政治離れが今後も続くのか。
18歳以上に引き下げられたことによって、なんとか「政治離れ」を食い止めてもらいたい。「誰に投票したらよいのか」のキャンペーンを国や地方自治体、学校などが行ってほしい。高校生だけでなく、小、中学校でも「模擬投票」を実施してもらいたい。まず相手の話を聞いて、自分なりの疑問、質問を打ち出す。
普通選挙の歴史とか、議員インターシップへの参加とか、投票所での事務補助など「生きた政治」への関心を広めることになろう。
それには、普段から時事問題への関心をつけてほしい。最近は各新聞紙とも主義、主張が違っているので、図書館などで各紙の紙面、社説を比較するのも一案である。
政治がよくなるのは若者の使命でもある。もちろん大人の責任が大きいのは当然であろう。
(武市英雄 ’60 文英 新聞学者 上智大学名誉教授)