ここでは、マスコミ・ソフィア会との会員同士の交流も深い「三水会」の講演録をお伝えします。
今回はマスコミ・ソフィア会会員でNYから様々なメディアで情報を発信している我謝京子さん(第22回(2012年)コムソフィア賞受賞)が自主制作した短編映画を中心に講演会が行われました。とても興味深い我謝さんの活動と内容の映画のお話でしたので、参加できなかった当会会員の皆様にもお伝え致したく山田洋子が要約でご紹介します。(マスコミ・ソフィア会会長・村田 亨)
■講演テーマ:新作緊急試写会「ハポンさん」(ダイジェスト版)とトークショー
■日 時: 2018年09月26日(水) 18:30〜20:45
■場 所: ソフィアンズ・クラブ(上智大学6号館 ソフィアタワー)
■講 師: 我謝京子(がしゃきょうこ)さん(’87年外国語学部スペイン語学科卒)
現在:映画監督、ロイターのアンカー/シニアプロデューサー
■参加者数:44名
<我謝京子 プロフィール>
1987年外国語学部スペイン語学科卒業、1987年テレビ東京入社、2001年にロイター報道記者としてニューヨークに赴任。同年9月11日に全米同時多発攻撃事件で被災して以来、心の復興をテーマにドキュメンタリー映画製作を開始する。
以後2008年に第1作映画『母の道 娘の選択』、2011年映画『311:ここに生きる』、そして2018年映画『ハポンさん』が完成した。 ニューヨーク在住。元ニューヨークソフィア会会長(2014年~2016年)マスコミソフィア会 第22回コムソフィア賞受賞(2012年)。
司会(佐藤):「皆さんも良くご存知の元ニューヨークソフィア会会長我謝さんが新作映画を完成されました。三水会を選んでいただいたことはとてもうれしい限りです。今回は、参加された皆さんとお話しする時間を確保するためにわざわざダイジェスト版(30分程度)を編集していただきました。私は以前、我謝さんが東日本大震災後の被災地の女性たちを描いた映画『311:ここに生きる』を観させていただきとても感動しました。今回の新作はまた違ったテーマの映画ですが、とても楽しみにしております」
講師口上:「私が、ニューヨークにある合唱団「とも」の記録係としてスペインのコリアデルリオを訪れたのは5年前、そのときに出会ったのが心やさしいハポンさん達でした。この人達の存在を日本だけでなく世界に知ってもらえればと、何度もスペインを訪れこの映画を作りました」と口火を切られた。
会場には、この映画の制作にニューヨークで携わった方をはじめ多くの人が駆けつけいつもよりも大きな会場で我謝さんの新作への興味が高まる中、三水会は始まった。
映画のストーリー : ニューヨークにある合唱団「とも」の団員には、東北大震災で影響を受けた地域出身の日本人が多い。合唱団「とも」は、同じ東北出身の仙台藩士支倉常長が慶長遣欧使節として400年前にスペインのコリアデルリオを訪れたが、2013年にその同じ町でコンサートを開くことを決めた。その地での合唱団と町の人々との出逢いは想像を越えたものだった。支倉常長が、伊達政宗の命を受けてヨーロッパを目指した慶長遣欧使節団の数人はこのコリアデルリオに残り、その子孫と言われる人がサムライのプライドを持って今も生きていた。 彼らの苗字は、皆「ハポンさん=日本さん」だった。400年の時空を超えて日本・東北という歌声の絆のドギュメンタリー映画である。
・試写後、我謝さんよりプロデューサーの中島健一郎さんが紹介され、ニューヨークの合唱団の記録係として、初めてスペインのコリアデルリオにいらした経緯や短編映画を創ろうと思った背景について説明があった。初めて現地でドローンを飛ばしたり、一人でカメラマン、編集等なんでもこなしながら制作をされていることやご自分の生活とのバランスについても触れられた。
●会場での感想・質疑応答
会場からは次のような質問やコメント等があった
・スペイン旅行から帰国したばかりの三水会メンバーで、偶然映画に登場したハポンさ
んに会ってきた人もいて、たいへん会場は盛り上がった。
・ヨーロッパと日本・伊達藩の文化交流の歴史からヨーロッパンのジャポニズムの流行そして最近のアニメブーム等への質問が広がった。
・今後の上演予定
●我謝さんのコメント-「映像が自分に語りかけてくれる」
我謝さんは、トークの中で「編集していると、映像が自分に語りかけてくることがあり、自分は、その映像を中心に作品を作ってきた。過去の作品を振り返ると、自分では意識していなかったが、海外在住の日本人(なぜ、海外なのか)、東北の震災等、全ての作品につながりがあることに改めて気づいた。東北の震災については、長期にわたって、取り組んでいきたいライフワークである」と。そして最後に「この映画は、私が上智大学のスペイン語学科を卒業していなければできなかったものです」と語られた。
佐藤幹事からは、東日本大震災後の被災地の女性たちを描いた映画『311:ここに生きる』を上智大学100周年記念で上映し、今回の三水会での試写につながったことへのお礼が改めてあった。
(報告1977年外独 山田洋子)