マスコミ・ソフィア会会員の皆さま:
今月の「幹事会だより」は、鈴木顕宏(1996 経経)が担当します。現在、フリーランスの編集者をしています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)がテーマのWeb媒体編集長をする傍ら、小規模小売店(町の〇〇屋さん)の経営を改善するコンテンツ制作をしていますが、世間でいう「今」と「ひと昔前」の両方に接していると、いろいろと考えさせられることがあります。
今回はその一つ、目新しい物事に触れたときの日本人の行動について書きたいと思います。
行政も民間も、今、日本全体でDXが大はやりです。DXを分かりやすく説明すると、「データやデジタル技術を使い、多くの人が良くなったと感じるように、何かを変革すること」。こう書くと分かるように、データやデジタル技術は手段で、目的は良く変革することのはずです。
ところが、(昔もそうだったと思いますが)今の日本人は、目新しいからという理由で、手段に飛び付いてしまいます。
DXでも同じで、データやデジタル技術の活用ばかりに一生懸命になり、その結果、それで実現しようとしていた「良く変革すること」は二の次になっています(確かに、データは多く集まった方が価値が高まり、デジタル技術は多くの人に使われてこそ効果が大きいことは否定しませんが)。
その一方で、「町の〇〇屋さん」で見直されているのが、アナログの販促物。紙のチラシなどを手元に置いておかないと、必要な情報にたどり着けない高齢者が多くいるからです。『今の高齢者層(主に前期高齢者)は若いころから仕事でパソコンを使っているので、デジタルには抵抗がない』といわれることがありますが、全ての人がそうではありません。
しかし、今の日本は行政も民間も、全ての人にデータの提供やデジタル技術の活用を強要しています。無理に集めたデータ、浸透させたデジタル技術の先に何か良いことがあるのでしょうか。それも、そもそもの目的を後回しにした、その行動に。
何も考えずに(考えないようにさせられながら)行われている「右へ倣え」は本当に怖いなと思うとともに、これも、今の日本を覆っている閉塞感の一つだと感じてます。
2022.09.14
マスコミ・ソフィア会 常任幹事
鈴木顕宏(1996 経経)