マスコミ・ソフィア会会員の皆さま:

今年もハイノキが白い花を咲かせた。忘れまい上智先輩の占守島での戦死。今月の「幹事会だより」は、向山肇夫(1963法法)が担当します。

上智大学戦没者記念植樹のハイノキが、今年も7号館横庭に白い花を咲かせた。ロシアのウクライナ侵攻が続く今、第二次世界大戦時東京ではB29の爆撃、疎開した舞鶴では、機銃掃射の記憶が残る私にとって他人ごとではない。”歴史は常に繰り返す“。

現下のロシアのウクライナ侵攻と同様かつて旧ソ連軍は、日本が1945年8月15日ポツダム宣言を受諾したのにかかわらず、北海道への領土的野心から8月18日未明千島列島北東端の占守島(シュムシュ島・現ロシア領)を攻撃、日本軍守備隊(陸軍約23000名、海軍約1500名)と戦闘となった。占守島自体の戦闘は日本軍優勢に推移し、旧ソ連の北海道への領土的野心が食い止められている。もし占守島日本軍守備隊の防戦がなければ、今のウクライナ状況を見ると北海道はどうなっていたか想像すら恐ろしい。この占守島の戦いでは、日本軍守備隊戦傷者(約600名)を出した。その中には、井土井重市さん(専商1942)がいる。戦後2015年11月井土井重市先輩の遺骨が日本側に返され、遺骨のDNA鑑定結果、遺族に引き渡されている。この一連の経過について村松良彦さん(元北海道新聞記者・1958文新)が、会報「コムソフィア」第71号に「お帰りなさい井土井重市先輩 !—カトリッツク小樽教会・富岡聖堂で追悼ミサ盛大に」として執筆してくれている。

さらに会報「コムソフィア」第68号が、“戦後70年を迎えて/学徒動員体験者の証言”特集をした。これを機会に上智大学戦没者追悼の会が出来、2015年6月14日には聖イグナチオ教会マリア聖堂で追悼ミサが行われた。その後2018年11月15日には、上智大学戦没者記念植樹式が行われ、ハイノキが植えられた(会報「コムソフィア」第75号参照)。植えられたハイノキの前の銘板には、ヨゼフ・ピタウ神父の言葉「生命を愛する 生命を大切にする それは平和です」が刻まれている。私は今、銘板に刻まれた言葉をかみしめている。

2023.07.18
マスコミ・ソフィア会 常任幹事
向山肇夫(1963法法)