第32回コムソフィア賞は、小説家の今野敏さん(1979文学部新聞学科卒)が受賞しました。
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コムソフィア賞授賞式は、菅家ゆかりさん(文学部新聞学科)の司会で1月25日18時から2号館17階の国際会議場で行われました。式には今野さんと秘書のほか、約80人近い来場者が授賞式と記念講演を熱心に見守りました。
はじめに金子達夫上智大学ソフィア会事業企画委員会委員長の挨拶と永井敦子上智大学副学長の祝辞があり、つづいて鈴木真理子コムソフィア賞選考委員より第32回コムソフィア賞選考経過の報告がりました。その後授賞に移り、戸川宏一前ソフィア会長から賞状と本学の卒業で79代内閣総理大臣の細川護熙さん制作の「青白釉向付」が副賞として贈られました。
受賞の挨拶で今野さんは「私は上智大学が好きで入学し、このような賞をもらい感動した。これまでソフィア会、上智大学に不義理にしていて申し訳ない」と述べました。会場の壇上には、日頃今野さんの小説を出版している実業之日本社岩野裕一社長(文学部新聞学科)からの花が飾られました。そして今野さんを囲んで関係者と記念写真をとりました。
記念講演「作家の生活」で今野さんは、上智大学在学中に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞受賞されたが、その時の学生生活の思い出を話しながら、「自分の毎日の規則正しい作家活動のもとは、新聞学在学中の論文作法の時間に教室の黒板に、出されテーマを書いていたことが影響している。若者よ、携帯電話のスイッチを切り、創造力を養え」と語りました。
因みに当時の山下洋輔トリオ(日本のジャズ界の巨匠バンド)のドラマーだった森山威男氏がトリオを脱退することを知り、その衝撃から今野敏さんは小説に思いの丈を書いたそう。せっかく書いたんだから何かの賞にでも応募してみようと、当時山下洋輔トリオを応援していた筒井康隆氏が審査員を務めていた(雑誌)問題小説の新人賞に目をつけ、そこに応募したのが『怪物が街にやってくる』。見事受賞し、小説家としてデビューすることになったそう。よく「小説の書き方」について質問されるが「思いの丈」を描く、そんな「思いの丈」を見つけるのが一番大事。どうしてもこれだけは書いておきたい、人に伝えたい、そんな思いがなければ書いても伝わらない。
作家としての生活では、連載は1本あたり400字原稿用紙40枚程度、月間6本の連載があるとすれば、5日ごとに40枚書いている計算。これだとありがたいことにけっこう忙しい。そこで現在は月5本にしているとのことでしたが、それでもほかに趣味の空手などの時間もあり、相当ハードな日々を送られている今野敏さんの貴重な講演でした。
その後、場所を移動し2号館5階職員食堂で懇親会が、19時30分より20時30分まで、佐藤光利委員の司会で進行しました。これには在校生を含め約60名の参加がありました。今野さんは、皆さんと和やかに歓談され楽しい懇親会になりました。
*当日会場入り口に設置した能登半島地震募金箱の金銭は、上智大学カトリックセンターを通してカリタスジャパンの能登半島地震募金に寄付しました。
2024.02.11
マスコミ・ソフィア会 常任幹事
枝川葉子(1972 外独)