マスコミ・ソフィア会会員の皆さま:

今月の幹事会だよりは、杉村晃一(1964文新)が担当します。

◆最近の選挙報道に思う

 選挙は、議員選挙であれ首長選挙であれ、清き1票をもって、「ふさわしい人」を選ぶ民主主義の枢要な行為であると教えられてきました。選挙制度も立候補者には「公平」を旨とし、同じスペースの選挙公報が選管から配られます。「投票は有権者の権利であり義務である」という建前も信じる私は、選挙のたびに投票にはいきますが、いいことだけを並べた選挙公報では、「ふさわしい人」かどうかは判断できず、結局、所属政党で人を選んでしまいます。選挙中の新聞や放送の報道も、候補者に平等を旨とし、選挙公報の域を出ていません。
杉村さん960x720 東京都知事選挙での石丸候補の得票数、不信任で失職した知事が再選された兵庫県知事選挙には驚かされました。様々な分析や総括がなされていますが、私が注目したいのは、候補者のネット活用戦術が、いままで選挙に関心を持たなかった層を投票所に向かわせたという事実です。行動に向かわせる情報を得たからでしょう。
 いろいろなメディアに真偽不明の情報が飛び交い、選挙をアテンションビジネスの場と捉えて、法に禁止と書かれてなければ何をやってもいいとする候補者が出てくる昨今の選挙風景です。ただ、ニュースの「信頼度調査」では、新聞、テレビなどの伝統的メディアが、ネットメディアに勝っています。
 真の公正な選挙報道とは何か。今年は参議院議員選挙の年。伝統的メディアが選挙中は報道を控えることを善とすることなく機械的平等論に陥ることもない選挙報道を模索してくれることを期待しています。

マスコミ・ソフィア会 常任幹事
杉村晃一(1964文新)