11月28日(金)に第34回コムソフィア賞の授賞式と記念講演会を四谷キャンパス2号館17階の国際会議場で開催しました。受賞者はジャーナリストの大塚敦子さん(1983年文学部英文学科卒)です。

 授賞式は、牧嶋博子ソフィア会副会長のご挨拶、杉村美紀上智大学長からご祝辞をいただき、つづいて大越武コムソフィア賞選考委員長から選考経過の報告がありました。
受賞理由について、大塚さんが一貫して追求されてきた「人と動物の絆」、特にご自身の米国での経験をもとに日本で初めて刑務所で受刑者による盲導⽝育成プログラム事業を導入・誕生させた功績、何よりも受刑者の社会復帰と再犯の防⽌に⾮常に役⽴っていることが、上智の精神である「弱者のための社会貢献」という点で最もふさわしく、素晴らしいと述べられました。受賞者の大塚さんには、マスコミ・ソフィア会の大越会長から賞状と副賞として本学卒業生でもある元内閣総理大臣の細川護煕さん制作の「南蛮手丸皿」が贈られました。

 受賞の挨拶で大塚さんは「⾃分がやりがいを感じてやってきたことに対して認めていただいたことは思いがけない喜びで大きな励ましをいただきました。“For Others, With Others”という上智⼤学での教育は、私の⾏動の根底にずっとあり続けたのだと、今改めて振り返って思います。これまでソフィア会、上智大学と距離を置いていたが、今後は関わっていきたい」と述べられました。

 受賞記念講演「動物とともに生き直す」では、人と動物の絆をテーマにした理由や刑務所での動物介在活動に関わることになった経緯、現在感じていることについてお話しされました。
 子供のころから動物好きで、1990年代前半に米国でエイズ患者を取材し、患者と暮らす犬や猫が全身全霊で寄り添い「動物にしかできない愛し方がある」と感じたことが人と動物の絆をテーマに取材するきっかけとなったと語られました。さらにアメリカの女子刑務所で受刑者がシェルターに収容された犬を訓練して介助犬として育てるプリズン・ドッグ(社会貢献プログラム)を取材したことで、受刑者が生きてきた人生・境遇に目を向け、このプログラムが受刑者の回復プロセスとなり社会復帰の一助となると感じたそうです。日本では島根あさひ社会復帰促進センターでのプログラム導入に際し、立ち上げからアドバイザーとして携わり、現在は刑務所での読書会や文章創作プログラムを通じて、言葉の力で受刑者の更生を支援する活動に力を入れていると話されました。また、現在は野生動物保護のボランティアを行っており、動物ボランティアをテーマにした著書を出版予定とのことです。

 その後2号館教職員食堂に場を移して開催された懇親会は、授業を終えて駆けつけてくださったアガスティン サリ理事長の乾杯に始まり、大塚さんにはご挨拶やお祝いの列が途切れないまま、和やかで楽しい時間となりました。

2025年12月20日
コムソフィア賞選考委員会 
枝川葉子(1972外独)

授賞式

左から大越会長、杉村学長、大塚さん、牧嶋副会長

大塚さんの講演

当日の模様は動画でもダイジェストを配信しています