2025年1月16日に、第33回コムソフィア賞の授賞式・講演会・懇親会を開催いたしました。
すでにご報告の通り、今年度受賞者はフランス文学科出身のエッセイストで絵本作家の三宮麻由子さん(93院文仏)です。

2号館17階国際会議場で開催された授賞式では、ソフィア会の鳥居正男会長、大学副学長の永井敦子先生からご挨拶をいただきました。

永井先生はフランス文学科教授であり、先生が大学院生のときに三宮さんが入学され、以降、何かと協力されていたそうです。
永井先生が大学側として出席されたのは偶然かも知れませんが、先生のスピーチによって学科時代の三宮さんとの温かい交流や協力体制を伺うことができたのは意義深いことです。

続いてマスコミ・ソフィア会の大越武会長による選考経過の報告、賞状と副賞の贈呈がありました。

受賞者挨拶で三宮さんは、このような賞をいただいて本人が一番驚いている、とても嬉しいですと率直に喜びを表されました。
メンストの角に小さな泉があってその音を頼りに曲がっていた、そのことを何かの折に学長に伝えたところ、メンストの工事があっても、卒業までその泉を残していただいた、そのような大学からの温かいフォローに感謝していると述べました。

講演会は、いつもは90分ほどお話をするが今日は30分なので早口でまいりますと笑いを誘い、自作の絵本『おいしいおと』のスライドを見ながらご本人による朗読で心温まり、三宮さんの世界が会場に広がりました。

今回の受賞理由の一つである昨年出版の『わたしのeyePhone』で描かれた、目の見えない方のスマホ活用術を実演。
アイコンをタップすると音声で情報が流れますが、その言葉の早いこと!
3倍速とのことでしたが、私にはとても聞くことはできません。研ぎ澄まされた能力だと思います。
そしてiPhoneを使いこなすことによって、助けられてばかりの立場から人を助けることができるようになり、老齢の両親に贈り物ができるようになった。そこで自尊心が芽生え、それまでわからなかった尊厳を大切にしてゆきたいと話されました。
ひとつひとつのお言葉を深く心にとめてゆきます。

2号館5階教職員食堂に会場をうつして開かれた懇親会では、昨年度受賞者で日本ペンクラブ副会長の今野敏さんが来賓として駆けつけてくださり、ペンクラブ会員でもある三宮さんの特別な才能に祝辞を述べられました。
もうひとりの来賓、師岡文男名誉教授は、三宮さん入学時に障害者の体育クラスの研究室として関わったが、三宮さんからは同級生と一緒に体育の授業を受けたいので、そのために周囲ができることを教えてほしいといわれ感嘆したと38年前の思い出を語られました。

当日は三宮さんのお母様が同行され、皆さまの支えに感謝しますとご挨拶をいただきました。
三宮さんへの挨拶の列が途切れず、60分弱の懇親会は和やかにあっという間の時間でした。
長年の読者ではありましたがお会いするのは初めての三宮さんは素敵なお人柄で丁寧で心配りの細やかな方でした。
趣味でピアノを弾いているので、当日もできれば演奏を披露したかったとか。
まず暗譜をして、それから練り上げてゆくリストをいつかお聴きしたいものです。
三宮麻由子さんの今後のご活躍をお祈りいたします。

2025.1.21
マスコミ・ソフィア会 常任幹事
鈴木真理子(1982文仏)